――小林さんにとって桐朋の音楽教室とは何ですか。
一言で言うと音楽の楽しさを教えてくれたところです。小学校高学年から通い始め毎週土曜日は実技のほかソルフェージュ、フルート、合唱、特別クラス(当時)と夜9時~10時まで1日中過ごしました。初めて音楽の友達ができて、ピアノ以外の学びもありすごく楽しい日々を過ごせました。特別クラスの友達と東京ディズニーランドに行ったりしたことも。音教時代の生徒は団結力があり今でも仲が良く、反田恭平さんとも一緒で皆幼馴染みという感じです。
――音教で学んだもの、今の自分に反映されているものを教えてください。
中学当時、特別クラスでバッハの「マタイ受難曲」などを学ぶことは苦痛だったけど、今思うとそうした授業があってよかったと思います。桐朋学園は自由な風潮で、自分が好きなことをやっているけど私が私がではない。音教生のころから学生ホールで高校生、大学生の年上との交流ができたことが一番の思い出です。音楽家は孤独になりがちだから仲間を持つことは良いことだと感じます。副科を履修してピアノ以外の楽器にふれたり、合唱の授業で協調性を育むこともできました。それがピアノの表現力にも生きてくると思います。
――音教生の後輩にメッセージをお願いします。
桐朋学園の音楽教室はレベルが高く、高いからこそ学べるものがたくさんあります。基礎も教えてくれるし音教に入っておけば大丈夫。レベルが高いと感じても追いついていけばよいと思います。音教生は純粋な人が多いです。私も最初は大変だったけど同じように努力している人の姿をみて励みになりました。もし私が音教の実技の先生になったら興味があるものを教えてあげたい。音楽を楽しむことを第一にその子の感性を伸ばしてあげたいです。
――小林さんの今後の音楽人生をどう描いていますか。
特に新しくやりたいことはなく、ピアノを弾き続けることが出来れば十分です。これからフランスに行きます。学ぶことはたくさんあり、自分のめざす音楽家像に一歩ずつ近づけていけたらと思います。楽しく音楽家であり続けることが一番大変。自分が大事なものを失わずに生きていくのはすごく難しいけど、そこから外れないように生きていきたい。それが音楽家であるということを音教生や音楽家をめざしている人には一番大切にしてほしいです。
(2022年3月10日 仙川キャンパス333教室にてインタビュー)
山口県宇部市出身。3歳からピアノを始める。
2007年 桐朋学園大学音楽学部附属子供のための音楽教室「仙川教室」に特待生として入室
2011年 桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)に全額奨学金特待生として入学
2015年 「第17回ショパン国際ピアノコンクール」ファイナリスト
2021年 「第18回ショパン国際ピアノコンクール」4位入賞
7歳でオーケストラと共演、9歳で国際デビュー、14歳でCDメジャーデビュー。
ニューヨークのカーネギーホールに4度出演、パリ、モスクワ、ポーランド、ブラジルなどに招かれ国際的に活躍。国内でも多数のオーケストラと共演し、サントリーホールはじめ各地でもリサイタルを行い、高い評価を得ている。
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