桐朋学園の歴史は、音楽教室から始まりました。
1948(昭和23)年、市ヶ谷の東京家政学院に開設した小さな教室は、今や高校、大学、大学院のある日本を代表する音楽教育の場になりました。
桐朋学園は、まさに日本のクラシックの歴史の一端を担ってきた学校と言えるでしょう。
その伝統ある音楽教室の中でも、八王子教室は2011(平成23)年に開設した新しい教室です。
桐朋の伝統を引き継ぎながらも、新しい教室ならではの教育の形を模索する、それが八王子教室の理念です。
本教室は開設以来、ソルフェージュ授業の中で、アンサンブル教育を重視してきました。
それは音楽教育の根幹をなすものであり、また、人間教育としても欠かせないものだからです。
音楽は決して個人で完結するものではなく、集団の中で学び、検証し、成長していくものです。
まさにここで行われているのは、音楽を通した人間教育と言えます。
また、少人数ならではのきめの細かい教育も本教室の特徴です。
音楽の道に、正確な解答は存在しません。
どのような音楽の道があるのか、八王子の講師は一人一人と向き合い、個々の成長に応じた教育を行っています。
ぜひ八王子教室で、豊饒なクラシック音楽の扉を開いていただきたいと思っています。
ソルフェージュを勉強する意味について
ソルフェージュとは何でしょう?
桐朋の音楽教室では創立当初から楽器の演奏を習得する実技と共にソルフェージュと呼ばれるものにも力を注いでいますが、その目的を一言で表現するなら「より良い楽譜の読み方」に導いていくことと言えるでしょう。
実技のレッスンでも勿論楽譜の読み方は勉強しますが、それとは別に「弾く」という行為を伴わない、聴いたり、歌ったりといった「耳」の訓練や、読譜に必要なあらゆる知識を身につけさせることで、音楽の勉強をよりスムーズに、そして多面的に行えることを意図しています。
一口に譜読みといっても始めたばかりの頃と上達してからとではその内容は全く異なります。
子供が日本語を身につけるにあたって、最初は言葉を耳から音として知覚し、その後それらの音を文字と結びつけ、最終的には「行間を読む」といった高い水準を目指すのと非常によく似ています。
楽器を習い始めた子供は、身体を使って「弾く」という作業と、五線譜というシステムを理解することの両方をいっぺんにこなす事を要求されるため、演奏にはかなりの困難が伴います。
そこで、導入期には実技に先行する形で、先ず音を注意して聴くことから始め、次第に音の種類、高低、長さなど認識出来るようし、次にそれらの音に名前を与え、楽譜と結びつけるよう授業を展開していきます。
学習の過程でよく見られる、譜面の音一つ一つをバラバラに読んで、今度はそれらをまた一音一音バラバラに楽器を使って発音する、という極めて「非音楽的」で「非効率的」なやり方をせず、複数の音を読んでそれらの音の連なりをメロディー或いはハーモニーとして理解してから音にする、という習慣を身につけるための非常に重要なプロセスにつながって行きます。
幼児期に音感教育をするもう一つの理由は、やはりこれも言語の習得の場合と同じで、ネイティヴの発音はごく幼い頃にしか身につかないと言われるように、正確な音感も小さいうちでないと身につきにくいことによります。
実技の進度が増すに連れて、読譜もより複雑で速度が要求されるようになります。音感教育を受けた場合と受けない場合とでは、読譜や暗譜の速さに明らかな差が生じて来ます。
こうして実技の勉強がより効率的に進むだけでなく、次第に独力で曲を仕上げていけるよう方向づけるようにします。